小学生の頃のとてもユーモアにあふれた理科の先生の話
冬の夜風が冷たい夜の更新。
外はとても寒く、私の部屋から見える、冬の透き通った夜風に吹かれるイルミネー
ションの灯りが、一段と寒さを印象付けている。
窓を開けて空を見上げれば、今年もこの空のどこかでサンタクロースがトナカイに引か
れながらソリで子供たちの夢を運んでいるのだろうか…と思うクリスマス直前の夜空である。
今回は、私が小さいころの話を少ししたいと思う。ちょうど今夜と同じクリスマスの時期のことだった。
偉い人の伝記でニュートンの本を読んでいた時のこと。ニュートンは言わずと知れた万
有引力を発見した人であるが、彼は赤いリンゴが地面に落ちるのを見て万有引力を発見
したと伝えられている(ウソだという説もあるが)。
当時の私はこう思った。同じ赤でも、仮にニュートンが地面に落ちるリンゴではなく、
トナカイに引かれたソリで空を飛んでいる赤い服を着たサンタクロースを見てしまった
ら、万有引力が発見できなかったのではと。
サンタクロースを信じている小学生らしい発想だった。
その話を学校の理科の先生に話したら、ニッコリと笑いながら、思いもしない質問を返してくれた。
「もしサンタクロースが空の上から食べていたリンゴを下に落としたら、ニュートンはどう考えたんだろうね」と。
理科の先生のこのユーモアのある怪盗(本当は回答と書きたいところだが、あまりに
ユーモアがありすぎる答えで、私の心が奪われたのであえて【回答】ではなく【怪盗】
と書いた)に衝撃を受けた。
今考えると、小学生のどうでもいいような質問だが、理科の先生は期待以上の答えをしてくれた。大人ってすごいなと素直に思った瞬間だった。